田舎まっただ中のこの地方、ガヴィッレの名前を口に出す度、誰もがピザ屋の話を持ち出して来る。 どうやら隠れた穴場があるらしいので探検してみると、確かにその名の通り、ピザ屋はかなり「隠れて」いて、 看板などどこにもなく、あるのは町内会の集い場のような建物がひとつだけ。 しかし扉を開けてみると…そこはもう田舎風イタリアン料理のパラダイス! 薄くカリカリの巨大ピザだけでなく、トスカーナ風前菜やパスタの数々が勢揃い。 そしてコックやウェイターたちはなぜか老人か子供…。 なんと全員、町内会のボランティアだというのです。 広いレストラン内は超大賑わい。 お手頃価格で苦しくなるまで食べられます。 そして珍しい日本人を目にした彼らはもう大変。 これも食べろ、あれも美味しいぞとまかない料理まで出して来て、終いには「家で焼いてね♪」と、こねたばかりのピザ生地のお土産までGET。 1晩ですっかり家族のような扱いになり、笑いも止まらないディナー・タイムでした。 ところでこのピザ生地、「保存は必ず冷蔵庫の中だよ。でないとすっごく膨らんじゃうからね。」とのアドバイス。 言われた通りに冷蔵庫に入れたのですが、翌朝、眠気まなこで冷蔵庫を開けてびっくり! そこにはマシュマロ・マンのような膨らんだ巨大なものが…! この時期は温度が高いので、冷蔵庫の中でも発酵が進んでしまうのですね…。 しかしそのピザ屋も、残念ながら夏のバカンスに突入。 そして教習所や試験場の教官たちも海へ山へ…ということで待望の運転免許も9月まで待たなければなりません。 蝉が鳴き、カブトムシやクワガタ・ファミリーも歩き回る田舎町は、今日も眩しく太陽が笑っています。 2008年8月6日 静かな真夏のアトリエより。 高野倉さかえ