少しだけ風も爽やかになり始めたこの9月。 いよいよイタリアもバカンス・シーズンから明けて動き出そうとしています。 夏が秋色に変わり始めて思いかえすと、今年の夏のメインはやはり…先日の月食と野宿の夜でした。 8月半ば、イタリアではFerragosto(フェラゴスト)という夏一番の祝日&連休があり、 地元の友達大勢で何をするかと盛り上がっていたところ、エウジェニオが一言。 「こんないい場所にいるんだし、ここで星空を見ながら寝袋で寝るのはどうだろう?」 一同は一斉に「え〜っ?!!! やだ〜っ!」。 しかし時間が経つ毎にひとりひとりエウジェニオの話術にはまっていき、 終いにはテント3件で「Ferragostoキャンプの夜♪」を開催する事になってしまいました。 すぐ近くに快適なベッドがあるのに、どうしてここで野宿しなければならないのか…? そして待望(?)の夜。 幸か不幸かイタリア全土夏とは思えない雷雨。 「それでも外で寝る〜!」と大騒ぎの子供たちをなんとか説き伏せ、野宿は翌日に延期。 「明日も雨だったら野宿しないで済む…」との大人たちの密かな期待とは裏腹に、翌日は爽やかな快晴。 月食も美しく夜空に輝く中のキャンプとなりました。 真夜中までドリンク&トランプで盛り上がり、テント周辺にはなぜか近所の犬猫が大集合。 そして耳を澄ますと「ヒヒ〜ン!」と馬のいななき…。 「みんな、今、馬のいななきを聞いたでしょ?…でもこのゾーンにはね…馬なんて一頭もいないんだよ…ふっふっふ…。」 どこの国にも夜になると必ず怖い話をしたがる人がいるものです。 夏の虫たちと微かな羊の声。 そこにテント3件から流れるイビキ声のコンチェルト…。夏のトスカーナの空には降るような星が舞っていました。 2008年9月1日 澄んだ空気のアトリエより。 高野倉さかえ