ビエッラに移動して早や1ヶ月。 少しずつご近所の人々とも知り合いになって参りました。 その中でも印象深いのが、2階に住む86歳のおばあちゃん。 朝から晩まで丘の上から下を軽やかな足取りで行ったり来たり。 ある時はジョウロ、またある時はホースやバケツを抱え、なにやらその姿は畑仕事の気配…。 ある日「いいもの見せてあげるよ」と言われてついて行ってみると…木々の奥には秘密の家庭菜園が! 「巷で売ってる最近の野菜はどんな化学肥料を使っているのか、みんななんだか妙な味がするでしょ? 見た目は大きくて色も綺麗だけど、保存料だの着色料だの遺伝子組み換え野菜だの… そんなもの入れてるからみんな体が弱くなっちゃうんだよ。神様が作った自然の大地を人間の手で壊してるようなものだね。」 なるほど、そう言えば3年前に突然やって来た私のナッツ・アレルギーも、医者に言わせると食物形体の変化が原因のひとつだとか。 「だからね、自分で出来るものはここで作ってるんだよ。 殺虫剤も使ってないから、毎日管理がスゴく大変だけどね。 細かく手で退治しないといけないし、一苦労だよ。ほうら、これ。」 指差された先の小さなバケツを覗き込んでみると…そこにはおばあちゃんに捕獲された大量のカタツムリがウヨウヨ〜! 「仕事は多いけどね、野菜の本当の味が楽しめるよ。まぁ1〜2個持っていきなさい。」 そう言うとおばあちゃんは、ひょいっと腰を曲げ、力強い手つきで大きなサラダ菜をバリバリッと引っこ抜いたのでした。 86歳の年齢でこの動きの軽やかさ! 一体どんな魔法を使っているのかと思えば、若い時分は山登りの名手だったとか。 それもロッククライマーをしていたそうです。若さと健康の秘訣はやっぱり…スポーツ?! 2009年6月1日 ジャスミンが風を染めるアトリエより。 高野倉さかえ