秋です。 空高く、食文化が豊かに実る…秋です。 イタリアといえばなんといっても自然の素材を生かしたボリュームたっぷりのお食事。 前菜の後にパスタ、そして肉料理と付け合わせのオーブン焼き野菜、チーズにデザート… 巷のイタリア人たちの食べる量は凄まじく、その量がさらにグ〜ンと増えて行くのがこの時期。 彼らいわく、イタリアの健康は食にある…?! その中でも欠かせないのがワイン。 昔はそれぞれが独立国家であったイタリア。 今でも地方によって違いの大きいこの国をまとめているのがこのワインなのだそう。 イタリア人というと生まれ育った土地にかなりの愛情を持っており、一番の好物はマンマ(お母さん)の手作り。 選ぶメニューも伝統料理が多いのですが、ワインだけは別。 気分にあわせて様々な地方のものとの組み合わせを楽しんでいるようです。 このワイン、イタリアを代表する飲み物だけあって、20州ある国土すべてで生産されているらしく、 どこの街のスーパーでもパスタ棚よりワイン棚の方が広い! 驚きです。 そしてキャンティも9月はいよいよ収穫の時。 ワイン蔵に勤める友人たちは毎日ドロドロの疲労感を引きずりつつ、キャンティワインの主となる黒葡萄サンジョベーゼ種の収穫に追われています。 そして毎年恒例の軽くしんみりとしたこの空気。 日が短くなるせいか、それとも温度がガクッと下がるせいなのか、この時期のイタリア人にはどことなくウツが入っているよう。 楽しい夏場のバカンスシーズンを終えてやってくる秋最初の仕事がこれでは、まぁ無理もないですね。 そんな秋のユウウツから救ってくれるのは暖かい季節の味覚、肉厚のポルチーノキノコと夕暮れに浮かぶヒツジの風景。 といっても私にとってのヒツジはもちろん食べる為ではなく、見て幸せを感じるためのもの。 その何も考えず、のんびりメェメェぇ〜とやっている姿に心が和みます。 いつの日かヒツジのいるアトリエを作れたらなぁ。 2011年9月 高野倉さかえ