いつになく暖かく大雨続きの晩秋のトスカーナ。 骨身に沁みる寒さがないのはいいけれどイタリア独特の深い空の青がなかなか見られず、 毎朝カーテンを開ける度「今日は太陽が見られますように」と願い続けると…ようやく陽が輝き始めました! 神様ありがとう!さぁ急がなくっちゃ。 慌てて外へと出掛けます。 友人の家にお邪魔するとやはり皆さんニッコニコ。 「さっそく森に出よう! 今頃食材がいっぱい僕たちを待っているはずだよ。」 長靴を履いて杖代わりにスキーのストックを持ち、友人ふたりと私そしてノーリードでついて来る忠実なネコ2匹と共にキノコ狩りに出発です。 山道などない純正の森を歩き続けるとそこは色とりどりの枯れ葉でいっぱい。 探しているキノコは黄色だけれど、それにそっくりな落ち葉にだまされ続け、なかなか作業が進みません。 パスタソースにするにはある程度のまとまった量が必要なので皆真剣なまなざし。 そう、食べ物のこととなると一生懸命です。 一歩進む毎に飛び立つキジの羽ばたき。 木々の間から輝く空のかけらの青と森の香り。 しかし本日のカゴは1時間経ってもあまり満杯になりません。 収穫に恵まれず気が散ってきたのか、珍しいコケの写真を撮り始める者、綺麗な色の葉を集める者、木の実を食べ始める者…皆だんだんとキノコ以外に目を向け始める始末。 「この枝は弓にいいかも。」最近はアーチェリー競技にはまっている彼ら。弓作りの為に木々の物色も欠かせません。 あっという間に3時間。そして帰路に。 肝心のキノコはというと名人がひとりいたおかげでなんとか収穫はありましたが、パスタソースには足りずサイドディッシュに変身です。 ズッキーニとニンジン、タマネギをサイコロ型に切りキノコと一緒にフライパンで炒めます。 もちろん仕上げはローズマリーと絞り立てのエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルで。 キャンティの森の味覚です。 太陽を浴びた屋外のテーブルに自然の恵みを運び出し…さぁBuon Appetito! 2014年11月 高野倉さかえ