空まで届くような長い長い梯子に登る人々の姿が、あちらこちらの路地に見えていた11月。 それが過ぎるとイタリア全土に明かりが灯り始めます。 いよいよクリスマス・シーズンの始まりです。 日暮れと共に輝きだすイルミネーションは道路毎に異なったデザイン。 それぞれの地区の商店が毎年お金を出し合って飾り付けをすることが多いので、センスの善し悪しの他に景気の善し悪しまですべてクリスマス飾りに表れてしまいます。 流れ星が幾重にも重なって輝く道、丸く編まれた籠飾りの中に星屑を散りばめたように光が灯る道、 ちいさな星あり巨大な惑星あり、今年もやはり人気度ナンバーワンは「星」のテーマのようです。 ですがある日のこと。 ふと空を見上げるとそこにはなんと! 自転車がぶら〜んと吊るされている! そして遠くまで続く車輪、車輪、車輪の数々! あっけにとられてあんぐりと口を開けていると、友人が一言。 「あそこなら誰にも盗まれないよね〜(笑)」。 しかし自転車飾りの意味はどうやら盗難防止ではなくエコロジー運動の象徴だとか。 徒歩や自転車でしか回れない街になったらいいのに…という願いが含まれているそうです。 そうして世界は今年もあっという間に12番目の月。 この時期にしては珍しい不思議な暖かさのトスカーナも、これからはキーンと冷たい空気に包まれる事でしょう。 いよいよ冬が来るんだな…と思いながら歩いていると、街角にちいさな暖かさをみつけました。寒さの中で育ち花を咲かせるヒヤシンスのつぼみです。 それはまるでちいさな春が準備万端で待っているような可愛らしさで…なんだか嬉しくなりました。 新鮮な黄緑にヴィヴィッドなピンクの紙包み。それをさらに大らかに包み込むナチュラル素材のバッグ。 細い細い藁のリボンは何重にも重ねられて軽快なリズムを奏でながら、ふわふわの毛糸リボンと対照的にしかも美しくセットされています。 通り過ぎてもついハッと振り返ってしまうような、それはそれはステキなハーモニーを醸し出していました。 明日はそろそろ晴れるかな? 2014年12月1日 高野倉さかえ