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空の青が山々の緑を照らしはじめると しっとりとした水に潤う季節がやって来ます。 ゆらゆらと揺れる雫たち。 そんなある日、長いこと訪れてみたかった水の世界、江ノ島水族館に行ってまいりました。 そういえば昔、 そう、それはリグリア地方のちいさな港町サンタ・マルゲリータ・リグレに住んでいたある日のこと。 「イタリアで1番、いや、ヨーロッパでも最大級って水族館が近くにあるんだよ。行こうよ!」 そう友人に誘われ、ジェノバの水族館に繰り出したことがありました。 そもそも水の世界が大好きな私です。 心はウキウキ、前の晩から楽しみで思うように眠りにつけません。 当日着ていく服を選んでいても、なんとなく青系統にまとまってしまったり、とにかく心は弾みまくりです。 そして迎えた当日。 ほぼスキップをしながら入場してみると...おや? リグリアの人々が「ヨーロッパ最大級!!!」と絶賛していた水族館は、思いの外シンプルでした。 日本のそれと違い閉鎖されているゾーンも多く、水槽の大きさといい、様々なサービスといい、当時はなにやら物足りなく感じました。 そういえば以前、トスカーナの動物園にも騙された覚えがあります。 入場してみると、内部はとても閑散としている。 ウサギがいたり、ニワトリがいたり、自宅で飼うような動物たちのケージが小さく立ち並び、 「でも奥に目玉商品の動物がいるよ! きっと気にいるよ〜!」 そう係員さんに言われて歩き続けた先には、なんとニホンザルが2匹いました。 「ほうら、珍しいでしょう?」 ニコニコ顏の係員さんと、凍りついた笑顔で見つめあった記憶があります。 「あ、私も同じ国の出身だ〜♪」(笑) 水族館の流れる青の世界。 時間を忘れて、透明な雫たちのやわらかな動きに酔いしれながら、 こころの中では、ふと想い出の風景が蘇り、クスッと笑顔がこぼれたひとときでした。 そして今回江ノ島での新たな発見は、クラゲの水槽たち。 大きさも色も想像をはるかに超えた様々なクラゲたちの中に、小指の爪ほどのちいさなちいさなクラゲが一匹。 極小の体を一生懸命動かして泳ぐその姿がなんとも可愛くて...感動しました! 真白な雪のひとひらのように透明で、微かで、でも力強く息づくクラゲbaby。 本当に綺麗でした。本当に本当に。 ちいさな命の輝きを前に、自分がこの世に生まれてきたこの月を思い、 歩んできた長い数十年間を思いました。 遠い母に聞こえるような、大きな大きなありがとうを。 2017年6月25日 高野倉さかえ