3月。 春の始めの、まだちょっぴり下手なウグイスの可愛い声が響いています。 「ホ〜ホ〜ホ〜...」 あれっ? 最後の「ホケキョ♪」部分がない。 「...ホーケッ!」 ...ん? 今度は何の前触れもなくいきなりの「ホケッ♪」 まだ鳴き慣れないウグイスたちは、生まれて初めての春を迎えているのでしょうか? それとも、1年ぶりで鳴き方を忘れてしまっているのかな? 春の始めの、この不思議なコンチェルトに心を和ませながら、 アトリエでは毎年、この新しい季節を迎えます。 そしてこの春迎えた、30周年記念展。 皆様、この度は丸善丸の内本店ギャラリーにお越しくださり、 誠にありがとうございました。 総数80点という、今までにない新作数を展示することができました今回の記念展は、 今まで以上に、たくさんの皆様にご鑑賞いただくことができ、 そして今まで以上に、多くのご好評をいただきました。 1週間、朝9時から夜9時までの12時間をギャラリーで過ごさせていただき、 お越しくださる皆様と、様々なお話そしてコメントをいただくことができ、 懐かしい出逢いの数々、そして青空にも恵まれ、 笑顔に包まれながら、無事に幕を閉じることができました。 今まで、比較的小品の展示が多かった私ですが、 今回展示することが可能となった、フィレンツェを描いた大きな新作もオープン初日からご好評を受け、 新しい試みの数々が、皆様にお喜びいただける様子をこの目にしながら、 一歩一歩歩んできたこの30年の歳月をふと振り返り、 絵筆の持つ魔法の素晴らしさを、心の底から実感した日々でございました。 そしてその魔法は今日も、 ウグイスの透明な歌が響き渡る元箱根アトリエに、新作の色彩を次々と届けてくれます。 大きな澄んだ青空に、真白の春の雪景色。 美しい、日曜日です。 Un vivo ringraziamento per un splendido 30mo anniversario. Grazie di cuore a tutti Voi! 皆様、今回の記念展では本当にありがとうございました。 皆様の暖かな笑顔を胸に、これからまた一歩そして一歩と、 未来の記念展に向けて歩みを続けてまいります。 春の銀雪が眩しい、元箱根アトリエより。 心からの感謝を込めて。 2019年3月24日 高野倉さかえ