イタリアの石畳を思い出す、12番目の月。 音楽と、賑やかなおしゃべりと 強い香水の香りが絶妙にmixされたフィレンツェの街の大気には いつも遠くの方に、なにやらあま〜いスィーツの香り。 どこからともなくやって来るその香りに導かれ 思わず立ち止まる、美しいレイアウトのショーウィンドウ。 幼い頃に憧れた お菓子の国に舞い降りたような景色がそこここに広がり 思わず、息を飲みます。 街灯も、ウィンドウも イタリアを照らす光はいつも、黄色味のかかったあたたかな色あい。 アーティスティックなクリスマスの飾り付けと アーティスティックな形のケーキたち。 同じものがふたつと作れないこの国の生み出す作品たちは あぁなんと、素晴らしいことでしょう。 そう、私の知るイタリア人たちは、規則的に同じものを作る事が苦手です。 ある日、建築家をしている友人に聞いた話では 郊外に作っているマンション群が 棟ごとになぜか微妙に違う高さにできてしまうとか。 車を注文しても、それぞれ状態に当たりハズレがあったり 全てはそう、運次第。 そしてそれを乗り越え使いこなすのは、そう、私たちのスキル次第。 人間の作るものなんだから、個体差があって当然だよ それよりこのデザインを見てよ!と 車屋さんのディーラーも胸を張って語っていました。 それぞれの個性を大切にする国。 私はそんなイタリアが大好きです。 その芸術性がmaxに活かされるのが、この12番目の月。 何百年も変わらないアンティークな街並みの中で 現代の鮮やかな色彩と光がきらめき合い 魔法のような光景を作りあげる、この季節。 今年はお里帰りできないけれど、目を閉じれば浮かんでくる 甘い香りを含んだあの独特の空気と、懐かしい雑踏。 大道芸人の奏でる音楽 両手に抱えるクリスマスの包み。 凍える手をあたためる、生クリーム山盛りのあのカフェのホットチョコレート。 来年はまた そう、昔のように友人たちと肩を並べて笑い合い あの魔法の街をどうか歩けますように。 皆さま、今年も大変お世話になりました。 この難しい1年を無事乗り越えることができました事、心の底から感謝いたしております。 2021年はまた、いつもの個展会場で たくさんの皆様の笑顔にお会いできます事を夢見ながら 今日もアトリエで、絵筆を走らせています。 Che la magia del dolce Natale Vi porti pace e serenità. Vi auguro un sereno Natale ed uno splendido 2021. 2021年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 2020年12月21日 やさしいクリスマスの輝きと共に。 高野倉さかえ