イタリアは今、カーニバルの季節です。 カーニバルと言うと、真っ先に浮かぶ風景は…ベネツィアでしょうか? 様々に飾られた仮面と色とりどりのきらびやかな衣装に身を包む人々の姿が、ロマンティックな水の都を彩る風景…。 しかし、実際のカーニバルは、ベネツィア以外にもイタリア全土、それぞれの街で行われているのです。 その昔、イタリアに渡った1年目の2月、フィレンツェ旧市街を歩いていると、手作りの衣装に身を包んだ人々の群れに出逢い、一瞬固まってしまった記憶があります。 動物の着ぐるみを着た者、黒いドレスととんがり帽子に身を包んだ魔女や、スーパーマンや怪傑ゾロなどのヒーロー達も勢揃い! しかもそんな姿の人々が、普通に店に入って買い物をしているのです。 ふと横を見ると、猫が買い物かごを持ってチーズを選んでいたり、ベビーカーの中でスパイダーマンがぐうすか眠っていたり…。 毎日がちょっぴり微笑ましい今日この頃です。 トスカーナではその中でも特に、ヴィアレッジョ(Viareggio)の街のカーニバルが有名で、大きなからくり人形付きの山車が、街中を練り歩きます。 日本で言うと、ねぶた祭のような雰囲気でしょうか。 その年のニュースに多く取り上げられた人物が、毎年巨大化して山車のからくり人形に作られるのですが、ほとんど政治家関係のものが多いようです。 こう見えてもイタリアは、皆さん政治にひどく興味がある人たちの集まりなので。 そんな2月の午後。ここ数日は気温もマイナスから0℃以上に上がってきました。 アトリエの窓の外では冷たい霧雨もあがり、雲の隙間から眩しい陽が差し始めています。 2008年2月1日 トスカーナ田舎町のアトリエより。 高野倉さかえ