イタリアもようやく春です。 4月に入ると時刻もサマータイムに変わり、外も夜8時頃まで明るくなりました。 さてこのサマータイム、消エネの為に春と秋の年2回、時計を1時間前後にずらすという習慣なのですが、日本人にはなかなか不思議なイベントの1つでもあります。 まず、サマータイム変更日が近づくと「みんな〜!忘れないでね!」と、街中に時計の絵のついた張り紙が出てきます。 変更になるのはいつも夜中の2時頃。 寝る前に全ての時計を修正しておかなければなりません。 春は1時間進める為に睡眠時間が減り、秋には逆に得をするのですが、一体このアバウトなイタリア人たちにそんなことができるのか? 答えは皆さんの想像通り、結構なドタバタ振りです。 1時間遅れはもちろん、逆に直して2時間遅れで登場する者を始め、これを機会にわざと職場に遅刻する大物まで様々。 イタリアらしい光景ですね。 という私も、初サマータイムにはすっかりやられました。 友人と日帰り旅行の計画をたてたのですが、集合した時間が3人ともバラバラ。 ようやく会えた時には列車はとうの昔に発車していて、大幅なロス時間の挙げ句に目的地へ。 しかし観光後、駅に向かうと「あ、今日はこれからストだから明日まで電車ないよ。」とあっさり言われ、そこから慌てて宿探しに。 そしてドタバタ振りは重なるもので、翌日帰りの列車に乗り込み安心していたら…なんとそれはフィレンツェ中央駅に止まらない急行だったのです。 次の駅で降りた時には引き返す手段もなくなっており、始発まで思わぬもう1泊。 ようやく家に帰り着いた時には、スティファミリーのおばあさんが心配顔で立ちすくんでいました。 「一体どこまで行って来たの〜?」。 長い冒険話の後におばあさんが入れてくれたカフェラッテは、妙に暖かく美味しく思えました。 2008年4月3日 春のアトリエより。 高野倉さかえ