いつになく寒い冬、マイナス気温の毎日がまだ今月も続いています。 それほどの積雪ではなかったはずなのに、一度降った雪がなかなか解けないまま 氷山のようにカチンカチンに凍ってゆく日々...。 ストーブ用の蒔も激しい減りを見せ始め、 このまま行くと春の到来前に足りなくなってしまうかも?という恐怖に、 いつもよりモコモコに厚着をして、蒔ストーブを節約しています。 そんなある日のこと。 あまりにも寒いので山を降り、温暖な気候を求めて伊豆へGO。 天気予報は晴れマーク。 比較的暖かそうな日を選んで出掛けたとはいうものの、 車の温度計は1度、2度と、みるみるうちに上昇し、 たどり着いた海沿いの下界はなんと!18度もありました。 道路脇の植物は皆、青々としてとても元気。 アロエや様々な種類の椰子の木が風に揺られていて、その風景はまるで別世界の南国です。 道行く人々の服装も陽気な軽装で、 極暖ハイネックにモフモフのブーツ、ダウンジャケット持参の私との温度差を感じました。 早咲きの桜が多い伊豆地方。 河津ではそろそろ桜祭りも始まっている時期なので、今年初めての桜が見られるかもしれない。 そんな期待に胸を膨らませながら走らせる車。 でも到着した河津の川沿いは、今冬の寒さを物語るようにまだ茶色い木々ばかり。花はほぼゼロでした。 それでも祭り会場にはたくさんの人、人、人。 花より団子で立ち並んだ露店に集中する人々を背に、 花を諦めきれない私たちは、次の標的、西伊豆に向かってすぐに出発です。 河津から車を走らせること1時間。 土肥に到着して見たものは...そう、春の楽園でした! 桜のあまい香りと暖かな陽光、 満開の桜に蜜を求めてやってくる、たくさんのメジロたちの歌声。 風に揺れる枝の周りを軽やかな足取りでくるくると周りながら、 桜の花ひとつひとつに顔をギュッと押し込み蜜を吸うその可愛らしい仕草! それは本当に美しい光景で、心がとろけそうになりました。 元箱根ではまだ雪が凍っているのに、この風景の違い! 大気を彩る春に、感動した午後のひとときでした。 夕暮れ時を過ぎ暗くなった帰りの山道では、少し標高が上がるごとに気温が下がり、 帰宅すると温度計は3度。 途中、背筋を伸ばしたスリムな鹿が2匹、そしてモフっとしたタヌキが眠そうな様子でノロノロ歩きです。 元箱根の春はまだ、遥か彼方で冬眠しています。 2018年2月16日 高野倉さかえ