ウグイスとヒグラシの不思議なコンチェルトが過ぎると、箱根の空も秋の気配です。 天高く風肥ゆる…秋。 なぜだかそう覚えていたこの季節の言葉。 最初から間違えて頭にインプットしてしまったのか、 はたまた途中から一部変化を遂げてしまったのか? 大好きな金木犀の咲く季節。 もしかすると、風が金木犀の香りを運び美味しく感じるこの時期を、 いつからかそう表現してしまっていたのかもしれません。 そしてやって来た20年ものイタリア生活。 日本語に触れる機会が少なくなり、 頭の中にある、日本語収納部分の引き出しもすっかり退化。 新しく購入した簡単な引き出しばかりを使っていた挙句、 昔習ったはずの熟語やことわざの多くが、 いつもやや間違った形で口をつくようになってしまいました。 「さっきの話に戻るけどね、スルーしようと思ったんだけど、いや〜妙に気になってね...(苦笑)」 通り過ぎた会話に戻り、私の間違いを修正してくださる方々が後を絶ちません。 そう、肥ゆるのは「風」ではなく「馬」! 久し振りに(または生まれて初めて?)知る衝撃的な間違いに思わず目を丸くしている頃、 庭ではシジュウカラが来春の子育てに向け、早くも巣箱のチェックを始めていました。 そして枯れ葉がカサカサと鳴りだす頃には メジロ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラやソウシチョウなどの小鳥混成群の飛来が始まります。 普段はそれぞれ別行動なのに、 秋冬になると一緒に行動するのはなぜなのでしょう? 流れ行く雲とどこからかやって来るトンボの群れ。 見ていると、どのトンボファミリーもなぜか南に向かって庭を横切ってゆく…。 美味しい水を求め、芦ノ湖を目指して飛んでいるのでしょうか? 箱根の森の創り出す自然の不思議に包まれながら 今日も絵筆を動かし ハーブの挿し木を作っています。 2017年9月19日 高野倉さかえ