秋の微かな音が 日々深まる今日この頃。 庭はあっという間に、枯葉の絨毯に覆われています。 庭の柘植の木々には今年も まるでブラックオリーブのようなたくさんの黒い実がつき ヒヨドリたちに大人気。みな激しく大騒ぎです。 早朝、カーテンを開けると 屋根の上がうっすら白く凍っている日もちらほら。 ストーブに少し早い薪をくべながら、思います。 あぁ、冬はもうすぐそこまで来ているんだな...と。 そんなある日。 心優しいご夫婦から まだ籾(もみ)のついた状態の素晴らしいお米をいただき(ありがとうございます!) 今回、人生初の精米に挑むこととなりました。 思えば、我が家ではお米と言うと もうすでに真っ白く精米された状態のものしか目にしたことがありませんでした。 なので恥ずかしながら 「精米」については考えてみたこともありません。 以前ある方から「精米はどこでしているんですか?」というご質問を受けた時などは 「.....え?」と ただただ言葉を失う自分がいたほどです。 その私にやって来た、初めての精米作業。 ドキドキです。(笑) 聞いたところでは、箱根山を降りると御殿場にも小田原にも それはもうあちこちに精米所があるとのお話でしたが 足を踏み入れたこともない精米ステーションで、もたついてお米をぶちまけたり 数々の失敗を巻き起こすシーンが脳裏をよぎってしまい まずは前日の夜、精米の仕方を詳しく予習することとなりました。 ネットで検索をすると、農機具の会社などの様々な動画が各種用意されていて 精米機の便利さに驚きの連続です。 日本ってスゴい! そしてやって来た翌日。 まさにその動画でみたものと同じ型の精米機と出会うこととなり 言葉を喋るその機械の親切さや 米粒ひとつ無駄にしないその精巧さに感動し また思った以上に早い精米作業に感動いたしました。 何か精巧な機械に出会った時、イタリアの友人たちがよく使うセリフがあります。 「Svizzero?(スイス製?)」 その言葉に私は笑顔でこう答えます。 「No. Giapponese.(日本製よ)」 そのシーンがふと蘇ってきた、精米所でのひとときでした。 余談ですが 当時イタリアで食べていたお米で驚いたことが2つあります。 ひとつ目は、市販されているお米のパッケージが非常に小さいこと。 パスタはキロ単位のファミリーパックが山ほど売られているのに あれ?お米は500gパック?! 日本とはまるで正反対の光景でした。 そしてもうひとつは、炊く前の作業の違いです。 日本人の私はお米を炊くとなるともう反射的に体が動いてしまい 何も考えず米とぎをしてしまいますが その姿を見た時のみんなの驚きの表情が印象的でした。 「...さかえ、なぜ洗ってるの?」 美味しいリゾットを作るには、米とぎをしてはいけないそうです。 今月のタイトル「Riso & Sorriso」は ふかふかの白いお米が運んで来るそんなエピソードから生まれました。 イタリア語で「riso」はお米「sorriso」は笑顔です。 秋が深まる11月。 精米したての美味しいご飯でニコニコ。 そこにプラスされるのは、イタリアでの出来事の思い出し笑いです。 2022年11月19日 野鳥も私も食欲の秋?のアトリエより。 高野倉さかえ