夏真っ盛り。 アトリエの庭では、初めてベルガモットの花が咲きました。 苗を植えてから何年かかった事でしょう。 細くたくさんの純白の花びらが緑に生えます。 花が咲いたという事で もしかして、この後はタネの採取もできるのではないかと ベルガモットの増やし方について調べてみる事になりました。 まず検索バーに入力した文字は「ベルガモット 花」。 そこである驚きがありました。 出て来たのは、我が家のものとは全く違い 燃えるような赤系の花々ばかり。 そしてその和名も「タイマツバナ」となっています。 「…あれ?!」 ベルガモットとはタイマツバナの事だったのでしょうか?! そうすると「ホワイト・ベルガモット」という名で売られていた我が家の品種は 白…タイマツバナ?? 何か妙な感じです。 思いもよらぬものがヒットしたおかげで サクッと簡単に済まそうと思っていた検索が 妙に長い、まるで夏休みの研究課題のようになって行きます。 出て来た画像を見ると、花の形は我が家の白いものと同じ。 ただ色が赤いだけの違いです。 そしてタイマツバナの他に現れたのは「モナルダ」という名前。 そういえば、この「ホワイト・ベルガモット」と呼ばれるハーブの苗の購入時 土に刺さっていた花ラベルに、何かそのような音の英文字があったような…? 微かな記憶を辿りながら、自作のガーデニングブックを開きます。 このガーデニングブック「Libro di Giardinaggio」。 それは、購入時についていた苗のラベルを保存する、スクラップブックです。 アトリエ庭に植えた植物の名前や品種、特徴などが記されているので 今後の参考にと保管しているうちに、なんだかコレクションブックのようになって参りました。 湿気が多く、冬の寒さもやや厳しいこの山では 「耐寒性・強」と位置付けられている花々でも冬を越せなかったり 宿根草と呼ばれる、冬期に地上部が枯れて春になるとまた発芽するはずのものも そのまま消えてなくなったりする事が多いので この土地に合う花々を見つける為に、覚え書きもしています。 「えっと…ホワイト・ベルガモットはどこだっけ…あったあった!」 そのラベルに大きく印刷されていたのはカタカナで「ホワイト・ベルガモット」。 その下にちいさく、英文字が書かれています。 「Monarda Fistulosa White」 やはり白のモナルダ! シソ科ヤグルマハッカ属の花のようです。 まるで燃え盛る松明のような姿で咲く赤色のタイマツバナもシソ科。合っています。 ですが、本物のベルガモットは確か…柑橘系のハズ。 多くは南イタリアで栽培されている、オレンジのような果実がつく植物と聞いた事があります。 確かに「ベルガモット」で調べてみると ミカン科ミカン属の常緑低木と出ており こちらも白花と、花色は同じではあるのですが、花びらの構造が全く違う別物です。 そうするとシソ科のこのモナルダは、なぜベルガモットと呼ばれているのでしょう?? 益々謎は深まります。 調査を進めると、どうやらその訳はモナルダの葉っぱにありそうです。 ベルガモット・オレンジに香りが似ているから。ただそれだけ。 そのあまりにもシンプルな答えに、思わず笑ってしまいました。 それにしても、いくら「ホワイト・ベルガモット」と日本語表記があったとはいえ 柑橘系のベルガモットを想像しながら、うっかりシソ科の苗を買ってしまったとは! 間違った自分にも苦笑いです。 しかしそこでさらなる興味が湧いて来ました。 シソ科のモナルダをベルガモットと呼ぶのは果たして日本だけなのかしら?と。 そして発見! どうやら英語圏でも同じ理由でベルガモットと呼ばれており、いろいろ混乱があるようです。(笑) 8月初めの午後。 今日は大好きなアールグレイでアイスティーを作りましょう。 ふと、窓から顔を出すと 穏やかなアトリエの庭には、こんもり茂った紫陽花の日陰でキジ助が呑気にお昼寝中です。 坂下の芦ノ湖から微かに聞こえてくる、湖水祭の賑わい。 そして思います。 あぁそうか、キジ助は昨夜の花火の爆音で寝不足なんだな...と。 Buona Estate a tutti ! 皆さま、お体にお気をつけて 暑さに負けない素敵な夏をお過ごしください。 2023年8月1日 夜空には花火が輝く...夏のアトリエより。 高野倉さかえ