ふと気がつくと、山には、和歌によく詠まれているあの特徴的な鳴き声が響き渡っています。 ホトトギスです。 この声を聞くと、あぁ今年も6月になったのだなと実感します。 ホトトギスは夏の夜に鳴くというイメージが比較的強いようですが 山ではウグイスの声に混じって、特に5月の終わりから6月にかけては朝から晩までずっと いつもいつも鳴いている印象があります。 とても声量があり 鳴き声が聞こえる度に、飛来している事に気づいて窓から探すのですが 他の野鳥のようにはなかなか姿を見せてくれません。 ウグイスの方が見つけやすいくらいです。 「ホ〜🎵ホケキョッ!」 「...キョキョキョ、キョッ!キョッ🎵」 「ホケキョ🎵ケキョケキョッ🎵」 「...ピョピョピョ、ピョッ!ピョピョッ🎵」 ウグイスのなんとも言えない甘くやわらかな鳴き声の合間に突然響き渡る、太く存在感のあるホトトギスの声。 この鳴き声を一体どう擬音語にして表現したらいいのかと、かなり迷います。 キョッともピョッとも聞こえるこの声。4番目の音だけがぐっ↑と上がるのが特徴的です。 その昔、人々はこの声を「テッペンカケタカ」と聞こえたというけれど...う〜ん...なかなかそうは聞こえないなぁ。 そんな事を考えながら、アトリエでは絵筆を動かしています。 そしてこの声がやって来ると、もうすぐ、そう、長い雨の季節です。 そんな6月のある晴れた日。 たまたま訪れた山梨の農家の方々が参加する販売所で 大変美味しい、そしてとても美しいあるものに出逢いました。 収穫したての、箱いっぱいにツヤツヤと煌めく紅白のイチゴてす。 我が家では数年前からウッドデッキのプランターでワイルドストロベリーを育てているので 熟す前の、やや白い状態のイチゴは見た事があります。 ですが、見事に大きく育って、でも色が真っ白いままの完熟イチゴは今まで見たことがありませんでした。 その白さは、それこそイチゴにかける練乳のような雰囲気です。 「初の純白イチゴ。酸っぱそうだなぁ...」 そう思いながら、パンチのある酸っぱさを覚悟して1粒目を口の中へ。 …あれ…?! 全く酸っぱくありません。 それどころか、次の瞬間とても優しい甘さが口内に広がったではありませんか! 「ん〜💖」 脳は今までの経験から自動的に「白いイチゴ→未熟で酸っぱい」と信号を出してしまうようですが この見た目とのギャップ!そして香りの良さ! よく見ると、細かなタネのような表面のツブツブは普通の赤いイチゴとは真逆で 白地に綺麗な赤い粒が散りばめられているものもあり、思わず写真を撮りたくなるようなとても可愛いらしい見た目です。 しかもこの爽やかな甘さ!私の中でイチゴのランクがグングンと上がって行った一日でした。 帰宅すると、庭のプランターにも、緑の葉の中に赤く熟してきているちいさな実がひとつふたつ。 夏も冬も全く何も手入れはしていないけれど、毎年着実に甘い果実をつけてくれるこのワイルドストロベリー。 こぼれ種で偶然大きくなった株も含め、今年も元気に育っています。 それにしても...他の植物もそうですが、タネを収穫して増やそうとするとなかなか育たないのに 偶然こぼれたタネからだとグングン大きくなるのは、なぜなのでしょう? やはり自然の力は偉大なのですね。 ということで今回、小学校の理科の実験の様子を思い出し 昨年収穫したガウラの種を使って、ある実験をしています。 比較対象は、まだ緑色であまり乾燥していない内に収穫した種と、完全に茶色になるまでカラカラに乾燥した種。 そして土も2種類、市販の種まき&挿し木用の土と、普通に庭からとった元箱根の土です。 ポリエチレン製の育苗ポットに数粒ずつ種を撒いて、どの組み合わせが最も発芽しやすいかを研究しています。 ジョウロで細かく水を上げ、観察するひととき。 まるで子供の頃に帰ったような気持ちで、ワクワクドキドキ。 種まきからまだ1週間程度ですが、顔を近づけてようく見てみると 1ミリ程のミニミニ双葉が、既にあちこちに見え始めています。 そして思います。 今年はもう少し、プランターイチゴの種類も増やしてみようかな? それと一緒にブルーベリーはどうだろう? ワイルドな庭が、またさらにワイルドさを増しそうです。(笑) 夢は、トスカーナの生活で見ていた、あの景色。 野山で散歩をすると、野生のラズベリーやブラックベリーなどが両手いっぱい収穫できました。 湿気と寒さの厳しいこの山では果実は難しいと人は言い、そしてオリーブは残念ながら育たなかったけれど 様々な花々が、毎年生まれてきております。 「ピ〜ツツピ〜ツツピ〜ツツピ〜ツツ🎵」 ふと窓の外を見ると、シジュウカラが巣箱に帰って来ています。 でもこのカップル、先月のシジュウカラとはまた別の2羽。 今季1組目のカップルは、既に無事子育てを終えて元気に旅立った為 巣箱を掃除して新しく付け直してみたら、嬉しい賑やかさが早くもそこに。 今季2組目のカップルが早速ご入居されました✨ 梅雨入り前で急いでいるのでしょうか? それはそれはものすごい速さで巣箱と外を往復しながら、巣材のコケや獣の毛などを運び込んでいます。 顔が隠れてしまうほど、クチバシいっぱいに何やらモッフリしたものを運ぶメスのシジュウカラ。 いつも思うのですが、あの綿毛のようなやわらかいものは一体どこから見つけて来るのでしょう。 しかも時折、建材のようなカラフルな綿まで運んで来ています。さすがです。(笑) 挿し木から大きくなった紫陽花の花々も、今年はようやく蕾をつけ始めました。 元箱根の自然は、今日も潤っています。 2024年6月12日 風がそよぎ、空気が美味しい...穏やかな日のアトリエより。 高野倉さかえ